「健康の経済学」康永秀生 著のまとめ/その1
はじめに「健康の経済学」
私がこの本を読んでみようと思ったのは”医療経済学”について関心を持ったからだ。私は常々「人間は意思決定が適切にできない、適切な意思決定ができるように適切な介入をしたい」と思っている。
適切な選択とはなにか、適切な介入とはなにかの答えを求めるデータサイエンス。適切な介入のの方法論としてマーケティング・行動経済学をキーワードにしている。
ただし、私は勉強を始めたばかりでキーワード選定を誤っている可能性を多分に秘めている。例えば、マーケティングを勉強してみると、そこには行動経済学ではなく社会学の影が見えた。
今回、医療経済学に関心をもった理由は、適切な選択をセグメント別に考えてみようと思ったからだ。私はいままで、「学習をする」「食習慣を改善する」「運動習慣を改善する」など多くの場合良いだろうと思われる事柄すべてに画一的な介入が必要だと漠然と考えていた。しかしながら、おそらくそれは対象者の心理をないがしろにした、前時代的なマーケティング手法のそれだと先日読んだ「大学4年間のマーケティングが10時間でざっと学べる」(ぼくの記事)で学習した。そのため、対象者の心理を理解するには対象者をセグメント別に検討する必要があるのではないか、と思ったところだ。
つべこべ言ったけど「健康の経済学」という本を尊敬する方におすすめ頂いたので読みますって話です(笑)
「健康の経済学」をさあ読むぞ
『制度は慣習を作ります』元公務員だからなのか社会人だからなのか不明ですが、刺さりました。これは自然の摂理みたいなものなので、制度の見直しを適宜検討する必要があるのかな、と思いました。PDCAまわさない個人・組織は衰退するに決まっています。
『医学や経済学に関する予備知識がなくても、すんなり理解できるように』著者は東京大学大学院医学系研究科教授です。そんな頭のいい人が書くわかりやすい本。これは、文章構成の勉強にもなる気がします。
「健康の経済学」第1章_検査を賢く選ぼう
- 日本のCTの導入台数(人口あたり)は、諸外国と比較して突出して高い。しかしながら、稼働率は低く、稼働実績はアメリカと同程度である。CTを導入するにも我々の「保険料」が使用されており、医療機械メーカーの利益に貢献している。さらに、不要な検査を減らそうというムーブメントは日本よりアメリカで活発である。
- 検査のメリット>検査のデメリットになる場合にだけ検査すれば良い。
「健康の経済学」第2章_脱!薬漬け医療
- 科学的に根拠がないのに、薬が処方される場合が問題になっている。これは医師のせいとは限らない。
- 薬をたくさん処方した際に、儲かるのは製薬会社。医者(病院)は1人あたり400~670円程度の処方量、調剤薬局は薬の仕入れ値と薬価の差益のみ(これを薬価差益といいます)。残りは製薬会社の取り分。
- 本書では薬価差益は少ないと表現されている。
- 不要な薬を飲むと副作用を勘案するとデメリットが大きい場合がある(論文ベースの指摘)
- ポリファーマシーは問題だよね。複数の薬を服用している状態。飲み合わせの問題で副作用が出かねないなどのデメリットがある。
- ①処方カスケード②薬が欲しい患者③患者に対する薬の管理ができてなくて、いろんな病院からちょっとずつもらっちゃう④不要な薬が投薬され続けちゃう
健康の経済学」第3章_薬代を節約する
- WHOのセルフメディケーションの定義「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分の手当てすること」
- セルフメディケーション税制が施工されているが、医療費は3割負担なので、医者に行く方が安い
- ジェネリック医薬品に薬を変えてもらうと薬代を節約できる
- あいことばは「ジェネリックでお願いします」「ジェネリックがでている薬に変えてください」
健康の経済学」第4章_効果がなくても薬が売れる?!
- オプシーボという100mg73万円する高価な薬があります。体重65kgであれば1日200mg分使うこともおかしい話ではありません。年間3500万円です。
- 健康保険は高額療養費制度があり、年間123万円が自己負担額の上限です。
- つまり、3400万円ほどは公費から捻出されます。
- これは「新薬の価格設定」「この薬がその価格ほどの価値があるのか」の2点が問題です。